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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
「そいつは悪ィところに来ちまったな。いや、申し訳ねえ、また、日を改めて邪魔させて貰うよ」
「いえ、ごめんなさい。あたしったら、折角来て下さったのに、嫌味みたいなことを言っちまって。気にしないで下さいよ。そんな意味で申し上げたんじゃないんですから。旦那がやっと顔を見せて下すったもんだから、嬉しくて、つい口が滑っちまったんですよ、堪忍して下さい」
両手を合わせて拝む仕種までされては、帰るわけにもゆかず、弥助はまた、腰を落とす。
「いえ、ごめんなさい。あたしったら、折角来て下さったのに、嫌味みたいなことを言っちまって。気にしないで下さいよ。そんな意味で申し上げたんじゃないんですから。旦那がやっと顔を見せて下すったもんだから、嬉しくて、つい口が滑っちまったんですよ、堪忍して下さい」
両手を合わせて拝む仕種までされては、帰るわけにもゆかず、弥助はまた、腰を落とす。