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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
それをあたしが引き継いだんですけど、父の遺した店を守り抜くんだって思って、がむしゃらにやってきたら、いつしかこんな歳になっちまってねえ。―そりゃあ、こんな商売をしてますから、色んな男の人が色んなことを言ってきましたけど、どの男(ひと)の言葉にも実というか心がちっともないのがすぐに判りました。それで、男の人は信用できない、しちゃいけないって自分に言い聞かせて、自分の回りを固い殻で囲って必死で店を守ることだけを考えて生きてきたんです。そうしたら、いつのまにか、男っ気もないままにこんな歳になっちまって」