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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
 そして、おれんは更に弥助に思いもかけぬことを言った。
「もし、どうでも弥助さんの気が済まないというのなら、その代わりと言っちゃア何ですが、また、来て下さい」
「―」
 小指を差し出す。おれんの眼はどこまでも澄んで、浄らかだった。
―それで、男の人は信用できない、しちゃいけないって自分に言い聞かせて、自分の回りを固い殻で囲って必死で店を守ることだけを考えて生きてきたんです。
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