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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第9章 桜いかだ 其の弐 
 弥助の裸の胸に頬を押し当てながら、おれんがくぐもった声で呟く。
「あたしが何で眼を閉じてるか、弥助さんには判る?」
 唐突に発せられた問いに、弥助は少し眼を瞠り、やがて頷いた。
「ああ、あのことか」
 一刻余りの間に、弥助はおれんを二度抱いた。最初はこれまでずっと抑えていた欲望と想いのすべてをぶつけるような烈しさで、二度めは、後生大切な宝物を扱うように優しく。
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