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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第9章 桜いかだ 其の弐 
 時間をおいて、そのたおやかな身体を堪能している間中、おれんはずっと眼を瞑っていたのだ。弥助は別段、そのことについて深くは考えもしなかったのだけれど。
「どうした、何か特別なわけでもあるのか?」
 優しく女の髪を手で梳きながら訊ねると、おれんは淡く微笑した。
「怖いの」
「―怖い?」
 予期せぬ応えに、弥助は眼をまたたかせた。
「何で、怖いなんて思うんだ?」
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