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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第10章 桜いかだ 其の参
老中の松平越中守のひときわ宏壮なお屋敷の前を通り、武家屋敷を取り囲む築地塀沿いに歩いていった先に、おれんの店はひっそりと建つ。
ぬばたまの闇に〝花のれん〟の掛行灯の明かりがほのかに滲んでいるのが少し幻想的に見えた。前回と同じように、暖簾をかき分けて店の中に入る。
弥助を見たおれんが華やいだ笑顔で出迎えた。この間と同じ席に座りながら、弥助は金平と青菜のおひたし、蛸と胡瓜の酢和えを注文する。そのついでに、酒も一合だけ頼んだ。
ぬばたまの闇に〝花のれん〟の掛行灯の明かりがほのかに滲んでいるのが少し幻想的に見えた。前回と同じように、暖簾をかき分けて店の中に入る。
弥助を見たおれんが華やいだ笑顔で出迎えた。この間と同じ席に座りながら、弥助は金平と青菜のおひたし、蛸と胡瓜の酢和えを注文する。そのついでに、酒も一合だけ頼んだ。