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第11章 四つめの恋花　山茶花～さざんか～　其の壱

　那須屋の商売はもう随分と前から、傾いていたのだ。那須屋はもう数代前から続く老舗であったが、扱う品物はすべて一級品で、備前焼、美濃焼、萩焼、千汐が知る限りにおいても全国津々浦々の珍しい焼き物を取り揃えていた。ゆえに、那須屋の品は値は張るけれど、逸品ばかりである―と、定評があり、買い求める客たちも高級料亭や名だたる大身旗本などの富裕層ばかりだったのだ。
　貧しい者たちには敷居は高いが、那須屋の品はその分、信用がおけると評判だった。