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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第11章 四つめの恋花 山茶花~さざんか~ 其の壱
それが、籐兵衛の代になって、高級品だけでなく比較的に安価で手に入る品も扱うようになった。―そして、結局、その新しい商いが軌道に乗らず裏目に出たことが父の躓きの最初になってしまった。
父はどうやら余計に意固地になったらしい。自分が考え出したやり方が首尾良く運ばなかった時点で、これまでどおりの商法に戻れば良かったのに、意地になって強硬に押し通したばかりに、那須屋の身代は傾いた。あちこちで借金をし、しまいには高利の金までに手を出していたのだ。
父はどうやら余計に意固地になったらしい。自分が考え出したやり方が首尾良く運ばなかった時点で、これまでどおりの商法に戻れば良かったのに、意地になって強硬に押し通したばかりに、那須屋の身代は傾いた。あちこちで借金をし、しまいには高利の金までに手を出していたのだ。