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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第2章  春の夢 其の弐
「それにしても、慎之助さんがお亡くなりなすって、そろそろ三年、お須万さんはよくお一人でここまで頑張りなさいましたね。正直、慎之助さんがあんな風に逝かれてしまったときは、私も伊勢屋さんの身代がどうなることかと案じましたが、なかなかどうして、お須万さんは本当によくやりなさった。お前さんの踏んばりがあったからこそ、今の伊勢屋さんの繁盛があるんですよ。私も慎之助さんの実家(さと)方の身内の者として鼻が高い」
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