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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第2章  春の夢 其の弐
 信濃屋と呼ばれた商人は五十年配の恰幅の良い男で、にこやかにそんなことを話している。
「いいえ、私はただ、あの人が急に亡くなっちまって、ただ夢中でやってきただけで。信濃屋さんを初めとされる同業のお歴々のお力添えがあったからこそ、今日まで商いをやってこられたのだと思っています」
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