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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第11章 四つめの恋花 山茶花~さざんか~ 其の壱
 それに、このまま橋のたもとに立っていたって、これ以上、客を捕まえられそうもない。こんな雪降りの寒い夜に何もわざわざ好んで外に出て、風邪を引きたがる人間もいないだろう。こんな夜は早めに切り上げて、裏店の煎餅布団を引っ被って眠るに限る。安物の酒でもかっ喰らって布団に入れば、上等だ。寒さも一時忘れて、朝までぐっすり眠れるかもしれない。
 最早、商売をする気がないのなら、男の気を引く必要も機嫌を取る必要もない。
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