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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第11章 四つめの恋花 山茶花~さざんか~ 其の壱
男が言うには、お督という女とは随明寺の門前道でばったりと出逢ったそうだ。急な趨り雨で難儀していたところ、背後からさりげなく傘を差し掛けてくれたのが、そのお督という女だったとか。
その女に傘を返したいし、礼もしたいので、どこに訪ねてゆけば良いのかとうとすると、女は笑った。
―礼なんて要らないけれど、もし、もう一度あたしに逢いたいと思ったのなら、十日後の夜、八ツに和泉橋の上で待ってて。
そう言ったという。
その女に傘を返したいし、礼もしたいので、どこに訪ねてゆけば良いのかとうとすると、女は笑った。
―礼なんて要らないけれど、もし、もう一度あたしに逢いたいと思ったのなら、十日後の夜、八ツに和泉橋の上で待ってて。
そう言ったという。