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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐
 父の両親は、息子が江戸でも名の知れた大店の主人になることなぞ思いもせず、あの夜へと旅立った―。
「いつか行こう」
 唐突に言った曽太郞の顔を、千汐はまじまじと見つめた。
「お前と私と、それから、私たちの間に生まれた子どもたちを連れて、お前のおとっつぁんの生まれた故郷へ行ってみよう」
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