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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐
 千汐は眼をまたたかせ、溢れそうになった涙を瞼の裏で乾かした。
「一つだけ、私にも教えて」
 何だというように、曽太郞のまなざしが千汐に向けられる。
「曽太郞さんの言ってた真心って、一体何なの?」
 しばらく思案した後、曽太郞はひと言、ひと言、言葉を反芻するようにゆっくりと言った。
「私自身の気持ちだよ」
 曽太郞が微笑む。
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