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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐
 自分は、その家に連れ込まれたのだ。
 気が付いたときには遅かった。男が後ろ手に入り口の腰高障子を閉めた。陰惨な笑いを浮かべながら、近づいてくる。
 抵抗すると、両頬を幾度も打たれ、眼の前で白い閃光がまたたいた。
 痛みのあまり、眼には涙が滲む。声も出せないでいる千汐の上に馬乗りになり、男は狂ったように千汐の帯を解いていった。
「夜鷹なんぞがお高く止まりやがってよ、何さまのつもりだ」
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