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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐
 名も知らぬ男は千汐の身体をさんざん陵辱した挙げ句、一刻後、一人で空き家から出ていった。
 残された千汐は緩慢な動作で身を起こし、辺りに散らばった帯や着物を拾い、身につけた。
―別にどうってことはないさ。
 千汐は唇を強く噛みしめ、滲んだ涙を袖でゴシゴシとこすった。
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