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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
 おつなのこの口利きにより、千汐は幸助の営む一膳飯屋で通いの仲居として働き始めた。ここで得た給金は、はっきり言えば、夜鷹のときに稼いでいたものよりは少ない。それでも、ゆきずりの男に抱かれる屈辱や嫌悪感を思えば、地獄と極楽ほどの違いがあった。
 幸助は噂のとおり面倒見の良い男で、奉公先の主人としても申し分のない男であった。
 そして、更に月日はうつろい、千汐は臨月を迎える。
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