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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
だから、どんなことがあっても死ねないと、生き延びてあのひとを迎えにいかねばならないと踏ん張れた。思えば、あのひとに逢いたい一心で、私は生き存えたのかもしれない」
 あれほど生きたいと焦がれるほどに願ったのは、初めてだった。千汐に逢いたい、ただそれだけの想いが自分の消えかかった生命をこの現世に繋ぎ止めてくれたのだと、曽太郞は本気で考えている。
「私には詳しいことはよくは判りませんが、坊ちゃん、そのお人は、きっと坊ちゃんを今でも待っていなさるんじゃありませんか」
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