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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参
安平太なら、何でも話せる。余計なことは一切口を挟まず、曽太郞の話を聞き、適切な助言や忠告をくれる。
「こんなことを言えば、お前は笑うかもしれないが、私は自分が助かったのは、あのひとのお陰のような気がしてならないんだ。熱で朦朧としている間中、私はいつもあのひとの夢を見ていた。あのひとが桜吹雪の中でうっすらと微笑んでいる―、そんな夢だ。あの笑顔を見る度、私は今はまだ死ねないと思った。今ここで息絶えれば、あのひとに逢いにいけなくなる。
「こんなことを言えば、お前は笑うかもしれないが、私は自分が助かったのは、あのひとのお陰のような気がしてならないんだ。熱で朦朧としている間中、私はいつもあのひとの夢を見ていた。あのひとが桜吹雪の中でうっすらと微笑んでいる―、そんな夢だ。あの笑顔を見る度、私は今はまだ死ねないと思った。今ここで息絶えれば、あのひとに逢いにいけなくなる。