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第1章 回想

他愛のない話をして、食べ終わると父が席を立とうとした。

「..パパ..」

私は成績表を思い出して 父を引き止めた。

「ん？」

「ママも。これ..」

お尻の下から取り出し、見せるように渡すと二人が覗きこんだ。

「....」

（この沈黙が嫌い。）

そして母が溜め息をついた。

「百合ちゃん、下がってるじゃない。」

私はビクッとして俯いた。

母が ちゃん付けで呼ぶ時は機嫌が悪い証拠だ。

「....次頑張らないと受からないぞ。なにしてるんだ。」

父が低い声でいった。

「はい..ごめんなさい..」

「やっぱり家庭教師つけた方がいいんじゃない？」

母が不満げに父を見上げる。

「....そうかもしれないな..」

同意しかけた父の言葉に顔をあげた。

「い、いい!私、一人で頑張れるから!」

「けどな..」

「次は上げるから!だからお願い..」

「..じゃあ次で上がらなかったら知らないからな。」

それだけ言うとリビングを出ていった。

母も溜め息をつくと、

「私も仕事が残ってるから部屋に入るわね。勉強しなさいよ」
と声をかけて出て行った。