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バカな男に私は夢中
第7章 素直
斎藤が私の顔を覗きこんだ。
顔は....
(ものすごく怒ってる。)
今までに見たことのないような険しい表情だった。
「こんなとこで何しとんねん!危ないやろ!ここがどこか分かっとんか!?」
いきなり怒られてびくっとなった。
周りを見渡してみる。
「あ....」
ホテルが林立している裏通りだった。
「女が一人で来るとこちゃうやろ?」
私はコクっと頷いて、斎藤に思わず抱きついた。
「....!?ゆ、百合ちゃん!」
「..怖かったぁ....ぐすっ....」
初めて同い歳の男の子に叱られて、ちょっと恥ずかしかったが、助けられた安心感にホッとした。
数秒動きが止まった斎藤が頭を撫でる。
「....怒鳴ってごめんな。怖かったよなぁ。」
「ふぅ..っぐす....」
ウンウンと何度も斎藤の胸の中で頷く。
少しして私が落ち着くと、手を引いて立ち上がらせてくれた。