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こころから
第19章 久美子9
 うっかりと、私はうっとりしてしまっていた。
キスが上手、というのではない。
すごく気持ちがこもっているのがわかるのだ。
重ね合わされたくちびるから、彼の意識が流れ込んでくるみたいに。
ぽうっとなってしまって、お股を開かされても、
閉じなきゃって気持ちが出てこなかった。

「すみません、ゴム持ってなくて。
絶対に外に出しますから、今日だけ。
今日だけこのまま」

「あ、待って、ちょっと待って」

 避妊具なしでされるということより先に、
自分の体が、もう男のひとを受け入れられないということを、
事ここに及んでようやく思い出した。

「ほんとすみません。もう待てないです」
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