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こころから
第3章 久美子1
 逆に言えば、言わないと何もしてくれない。

 贅沢だなって思う。
これを不満と言って愚痴れるものじゃない。
さおりにだって、きっと叱られる。

 さおりは古くからの友達で、恥ずかしさを我慢して言えば親友だ。
自由奔放な性格で、彼女は普通に、当たり前のように不倫している。
さおりだけじゃない。
同窓会で久しぶりに会った仲の良かった子たち。
聞いた限りでは私以外全員、不倫しているか、
不倫したことがあるかのどちらかだった。

 みんな不倫してるんだ……

 すごく申し訳ないと思うけど、
夫にはもうときめかない。
男性として見ていない。
夫は家族で、父親で、
いつもそこにいるのが当たり前の存在。
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