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こころから
第3章 久美子1
 たぶんそれは夫だって同じだ。

 もう何年も誘われていない。
最後にセックスをしたのはいつだったか、
覚えていないくらい前だ。
夫だって、もう私を女として見ていない。
夫の前で着替えても、視線を感じることがなくなって久しい。
お風呂と洗面所は隣接していて、
夫が歯磨きしているときに、
私が脱衣場からすっぽんぽんで出ていっても、
たぶん見向きもされない。

 でもしょうがないことだ。
夫も年を取ったけど、もちろん私だって年を取った。
新聞の文字が見えにくいなと気づいたときは、かなりショックだった。
自慢だった髪は白髪がだいぶ増えてしまったし、
肌にハリがなくなったし、化粧をしないと小皺も目立つ。
お乳はだいぶ垂れてしまったし、
子どもをふたり産んでいるので妊娠線もある。
あそこの毛にだって、白いものが交じり始めてしまった。
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