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こころから
第30章 直人15
「もう久美子さん以外の女性に目が行きません。
久美子さんしか見えません。久美子さんだけにしか興味がありません」

 久美子さんには悪いけど、ぼくは嬉しかった。
久美子さん、牧原部長が泣いているところなど、
ついこの間まで想像もできなかった。
久美子さんが感情をむき出しにしてくれている。
無防備に、まっすぐぶつかってきてくれている。

「正直、おばさんかどうかなんてどうでもいいです。
久美子さんは気にしてるみたいだけど、
そんなの気にしないでほしいです。
今、ぼくの目の前にいるあなたが好きです。
ありのままの久美子さんが好きなんです」

 しゃくりあげながら、久美子さんがぎゅっと抱き返してきた。
華奢な肩が震えている。
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