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こころから
第33章 久美子16
もっと聞いていたいのに、意識が途切れ途切れになってる。
また私、泣いてるなー、と遠くで思う。
直人くんが、必死に我慢してる顔をしている。
我慢なんかしなくていいのに。
「久美子さん、もうそろそろ。中に出していいですか」
「いいよ……」
言ったけど、声帯が震えずに吐息だけの声になった。
直人くんが私を見下ろしている。
慈愛に満ちた目。
なんて優しそうな顔なんだろう。
直人くんをすごく好きになっている。
ほんとにもう、信じられないくらいに。