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こころから
第34章 直人17
「重くないですか?」

「うん、平気」

 久美子さんの頬を撫でていると、
その手に久美子さんの手が重なってくる。
指が絡まってくる。
そのままぼくは、久美子さんの指一本一本にキスをする。
とても愛しい。

 焦点が合うぎりぎりの距離で、
久美子さんを間近で見る。
ついこの前まで、ぼくには手の届かないひとだと思っていた。
そう考えると感慨深い。
手に触れることさえ許されないと思っていた。
それが、今は触れられる。
キスすることもできる。
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