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こころから
第42章 直人21
改札を通り駅から出ると、まだ西の空が僅かに明るかった。
終業時間前に掛かってきた電話のせいで定時を少し過ぎてしまった。
一分二分の時間も惜しいのに。
マンションのぼくの部屋の窓から灯りが見えて、
早足から駆け足になる。
エントランスを通り、もどかしい思いでエレベーターを待つ。
久美子さんに対するぼくの欲望には底がないかもしれない。
これからまた久美子さんを抱けると思うだけで、
ズボンの中が硬くなってくる。
「ただいま」
ドアを開けて部屋の中に向かって言った。
ただいまと言える幸せと、
おかえりと言ってくれるひとがいる幸せ。