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こころから
第51章 久美子25
並んで歩いていた。
くっつき過ぎず、離れ過ぎずのいつもの距離。
当たり前のように直人くんが傍にいて、
ふたりともおいしいお昼を食べたあとでお腹がいっぱいで、
週末の温泉旅行をとても楽しみにしていた。
路地から大通りに出ると、静寂から一気に音が溢れた。
ひとのざわめき、車のクラクション。
急に強い衝撃に襲われて、よろめいて、
そのまま道路脇に倒れて、
突き飛ばされたのだとわかった。
直人くんがそんな乱暴なことするわけないのに、
直人くんに腹を立てて、
何するのって言おうとして……
たぶんその一連の思考はごくごく短い一瞬の間のできごと。