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こころから
第53章 久美子27
「もう、帰るの?」

 両手で目を押えても、涙はどんどん溢れてくる。

「まだいてほしい?」

 返事に困る。

「私今、すごく写真撮りたくてうずうずしてる。
涙と鼻水でぐずぐずのばばあの顔」

「……もう帰って」

 しゃくりあげながら言うと、さおりはふんっと鼻で笑った。

「しばらく、思う存分悲しみなさい。涙が枯れるまで泣きなさい」

 さおりは言い、バッグから何か出して、私にぽんっと投げた。
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