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こころから
第53章 久美子27
「大丈夫よ。いいひとじゃない。大丈夫」

 妙にきっぱりと、さおりは言った。

 そういえば、夫はどうやってさおりを呼んだのだろう。
スマホもアドレス帳も手元にある。
年賀状のやりとりもしていない。
そもそも、たくさんいる友達のなかで、
なぜさおりを選べたのだろう。
だれが一番付き合いが長くて一番気を許せるか、
夫には言ってなかったのに。
夫はそこまで把握していなかったはずなのに。
知らなかったはずなのに。

「気づいたね。旦那さん、私にたどり着くのに相当苦労したと思うよ」

 古い卒業アルバム? 結婚式の芳名帳?
そこを手掛かりにして、わざわざ調べてくれた?
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