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こころから
第9章 久美子4
忙しいことには慣れている。
美香を出産して一年後に再雇用してくれて、
しばらく育児第一だったのでろくに戦力にならなかった私を、
それでも使い続けてくれた会社に感謝している。
だから育児が一段落し、仕事に集中できるようになってからは、
恩返しするつもりで必死に頑張った。
理解ある夫の存在も大きかった。
四十歳で課長になり、四十八歳で次長、
そして私を育ててくれた部長の定年退職を機に、
彼の推薦を受けて部長に昇進することになった。
正直に言ってそこまでの役職は望んでいなかったけど、
俺のあとをよろしく頼む、と言われると、
断ることはできなかった。