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第14章 直人７

「坂井くん、打ち合わせ」

　すぐそばで牧原部長の声が聞こえて、文字通り飛び上がった。
きょとんとした牧原部長と目を合わすこともできずにあたふたしていると、
願ってもないことを提案された。

「もうすぐお昼だし、先に外でご飯食べようか」

　言われたことを理解する前に返事をし、
理解が追いつかないまま牧原部長と会社を出た。

「何食べたい？」

　聞かれたけど、思考がほぼ止まっているので、
何でもいいです、と答えた気がする。
牧原部長は少し首を傾げて、それから近くの店に入った。

カウンター席に並んで座って、
出された水を一息に半分くらい飲んでようやく少し落ち着いた。
そしてここが蕎麦屋だと気がついた。