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あの海の果てまでも
第8章 星影の恋人 〜再会のとき〜
「今日は何かが起こりそうな気がしますわ」

ご自慢のエッグベネディクトが載ったミントンの皿を恭しくテーブルに置きながら、ミセスマクレガーは占い師のように厳かに宣言した。

「何かとは一体何がですか?
ミセスマクレガー」
ロンドンタイムズの朝刊から眼を離し、春馬はミセスマクレガーに柔かに尋ねる。
日本であろうと異国であろうと、レディファーストの精神は変わらない。

「良いこと?悪いこと?」
暁は薄いトーストに塗るジャムの手を止めた。
…ミセスマクレガーの予感は当たるのだ。
不思議なほどに。
だから気になる。

「悪いことではありませんわね。
…けれど、そうですわねえ。
とっても刺激的なことには違いありませんわ」

「刺激的なこと?」
二人は口を揃えて尋ねた。

「ええ。私にとっても。
…もちろん、ミスターダイモン、ミスターアガタ。
貴方がたにはもっとも刺激的で驚くべきことですわ」

ミセスマクレガーはそう言うと、薄灰色の眼を細めてやや得意げににんまりとしたのだ。

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