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誰も知らない君の顔
第8章 絡みつく・・・
「気持ちいい?冬吾さん・・・」

自分でいつ頃ヤらせるか計画していたが、自分自身でお預けをしていた状態。彼女のテクも相成って、

「もうっ・・・ヤバ、イッ!」

悲しくも瞬殺され、快楽による昇天で脱力する俺を下から覗き込む瞳は嬉しそうだった。

口に出された液体は飲み干され、見慣れない“女”の顔をした結が俺に跨る様にゆっくりと移動してきた。

「冬吾さんの言う事聞きます・・・これで最後にするから・・・」

「結・・・」

上から覗き込む顔は・・・もう涙で目が真っ赤になっていた。

「最後にするから・・・最後まで・・・して下さい」

首に抱き着きつかれ、耳元ではすすり泣く声。小刻みに震える細い身体が愛おしくて・・・思わず強く抱きしめてしまった。

自分で自分を押し殺し、気付かない振りをしていたが・・・やはり俺はこの子が好きだ。好きだが・・・お互い幸せにはなれない。

「結・・・結?泣かないで」

立場が違うなんていつの時代だよ・・・。俺にだって彼女にだって愛し合っていい権利がある筈。だが、“何か”に縛られたままの人間には“権利”なんて言葉は通用しない。

「冬吾さん・・・冬吾さんっ」

彼女に声を掛けて安心させようかと思った。だが・・・並べ立てる言葉より、気持ちを行動に現した方がいいかもしれない。

抱き着いて離れない身体を無理矢理離し、泣きじゃくる彼女を抱き上げると狭い寝室に移動した。
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