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第5章 檻の中

「もうひとつ
教えていただきたいことがあるんです」

「なに？
もっと私に
汚れた近親の肉体関係を暴露しろと言うの？」

秀子さんは、これ以上は思い出したくもないのか
うんざりとした表情をした。

「いいえ、そうじゃなくて…
この座敷牢…
布団を取り替えておいたと仰ってましたよね
私が来る前にも、
こうして誰かが監禁されていたの？」

「それは…」

「ねえ、その方はどこへ行っちゃったの？
無事に逃げ出せたの？」

「逃げたというよりは…
卒業したと言うべきかしら」

「卒業？」

「秀悟にセックスの全てを叩き込まれてね…
場末のソープランドに売られたわ
でも、聞くところによると
その女は、その店でナンバーワンになって
かなり稼いでいるらしいわ」

「その方も…わたしのような家出娘だったの？」

「ええ、そうよ
簡単に家を飛び出して
一人でやっていけると誰もが思うのね
まだ成人もしていない人生経験が未熟なのに
理想だけは一人前なんだから困ったものよね」

そう言われて、私は自分自身が恥ずかしくなった。

「それはそうと…
あなたのご両親は心配していないのかしら？
何も告げずに家を飛び出したんでしょ？」

「あんな人たち…
親でもなければ家族でもないわ！」

あんな家で生活するぐらいなら
秀悟さんに飼われているほうがましだと思った。