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貴方に染まる
第9章 Ⅸ

顔を上げると、蘭ほどではないけど整った顔立ちの男子生徒が立っていた。


「そうだけど」


「俺、前田って言うんだけど知ってる?」


「あー…、ごめん…」



同じクラスなのかな。


そう思っていると「席遠いし、足立さん興味無さそうだからしょうがないか」と少し眉を下げて笑っていた。

前田くんはクラスメイトだったらしい。



「足立さんって、綾瀬と付き合ってるって本当?」


「まぁ、うん」


「噂って本当だったんだ…。あのさ、もし良かったら──」


「華」




前田くんとの会話を遮ってきたのは蘭だった。


いつもお昼休みに私の教室に来たりしないのにどうしたんだろう。



「蘭?」


「来て」


「え──?あ、ちょっと…!」



腕をグイッと引かれてそのまま教室から出されてしまった。


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