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貴方に染まる
第10章 Ⅹ
「蘭は私を好きなんじゃない。自分に興味を示さない人なんて沢山いる。その中でたまたま私だっただけでしょ」
「違う」
「私に執着してるだけ」
「違う!」
「本当に私のことが好きならこんな酷いことしたりしない」
相手を思うなら嫌がることなんてしない。
むしろ嬉しがる事をしようとする。
愛を知らない私にもそれくらいは分かる。
いつだか、珠美さんは言っていた。
『坊ちゃんも親の愛をあまり知らないから乱暴になったり、無理矢理欲しいものを手に入れようとしてしまうのかもしれないわ』と。
いつもと違って少し狼狽える蘭を見ると、さすが珠美さんと思った。
きっと珠美さんが一番蘭の事を分かってる。