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貴方に染まる
第10章 Ⅹ
蘭によってグイッと抱き寄せられ、胡座の上に座って抱きしめられている状態が続いた。
蘭は何も言わずに私の首筋に顔を埋めたまま。
どうせ私が抵抗しても力の差は歴然としているからそのまま時が過ぎるのを待った。
その時間は5分、いや10分は続いたと思う。
漸く蘭の腕から解放されると「ただのヤキモチ…」と蘭は小さく呟いた。
「だからそんな怒んないで」
そう言って私の顎を掴み、唇を重ねてきた。
私は蘭が酷いことをしてこなければ怒ったりしない。
蘭が怒りを表に出してしまうほどの事を私がしただろうか。
ただ話しかけられてそれに返答しただけ。
でもそれが蘭の逆鱗に触れてしまった。