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貴方に染まる
第5章 Ⅴ
「華」
あ、この声……。
顔を向ければ、蘭が私の教室に入ってきていた。
「迎えに行ったのに家にいなかった」
「………」
「電話も出ないしLINEも既読がつかない」
「スマホ見てなかった」
蘭は眉間に皺を寄せて不満そうな顔をするから、目を逸らせばさっきまで話してた子が目をキラキラさせていた。
これはチャンスなのでは?
そう思った私は「トイレ」とだけ言い残して席を立った。
「あ、おい!」
「ま、待って、綾瀬くん!」
教室を出る間際、チラッと蘭を見ると腕を女の子に掴まれて動けなくなっていた。
このまま2人が上手くいけば私は蘭から解放される。