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嫌いな男
第19章 アオイ
しばし、違和感の理由を考えてみる。

「ん〜?」

「どうかしましたか、翔子さん」

「あ!」

そう、翔子は猪岡に名前で呼ばれたことがなかったのだ。

それを告げると、
「申し訳ない、移りました…ええと、もう奥さんではないし…」
猪岡は頭を掻く。

「いえ、翔子で結構です」
何が移ったのだろう、と思ったが気にするほどのことでもない。



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