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第3章 ~腹黒王子~　（前編）

「僕の可愛い妹の心を掴んだのは誰なんだい？」

　にこっと、優しい表情を向けるお兄様は、いつだってわたしの味方をしてくれる。

「……それが」


　初めての恋だった。

　数日前、街に出かけたとき出会ったわたしの王子様。

　どこの誰だかわからない……
　そんな、王子様に恋をしてしまった。

「へぇ、一目惚れなの？」

　わたしは少し恥ずかしくコクっと小さく頷く。


「なるほど……なあ、アザレア。今日、王宮で行われる舞踏会にいかないかい？」

「え……舞踏会、ですか？」

「そ、もしかしたらアザレアの想い人も来るかも知れないだろ？」