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プリンスの誘惑
第3章 ~腹黒王子~ (前編)

王宮に着くとその高鳴りはもっと強くなる。
人が……いっぱい……
「アザレア、だいじょうぶ僕がついてるから」
エスコートしてくれるお兄様の腕をギュッと掴んだ。足がもつれて上手く歩けない……
「落ち着いてアザレア」
「……はい」
お兄様はわたしを気をつかってくれ大広間ではなく、庭園で足を止めた。
空は漆黒に包まれあたりは外灯で照らされていて、鮮やかに咲き誇る季節の花が心を少し落ち着かせてくれる。
しばらくその場で花と行き交う人々を眺めていたとき、
「やあ、ロキ珍しいね君が女性を同伴で来るなんて」
ざわっとあたりがざわめく。
わたしは、あまりの突然のことで目を見開きその方を見た。
「妹なんだ……アザレア……ん?」
お兄様は……この方とお知り合いなの!?
何て偶然……わたしの初恋の王子様にこんなにも簡単に出会えてしまうなんてっ!
しかも、親しげに話すお兄様とこの方は顔見知り程度の関係じゃないこともわかる。

