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プリンスの誘惑
第3章 ~腹黒王子~ (前編)

 月夜の光と僅かなランプのあかりが灯す部屋。
 奥は薄暗くよく見えないけど、それなりの広さだというのはわかる。

 シェードさまは、天蓋付きのベッドのカーテンをくぐり抜け、わたしをベッドの上に下ろした。

 シェードさまは……本気なの……?

「あ……っ」

「どうされました?」

 シェードさまはわたしの胸元のリボンに手をかけた。わたしは思わず、シェードさまの手を握る。

「……アザレア?」

 まるでわたしのほうがおかしいみたいにシェードさまは不思議そうに問いかけてくる。

 握ったシェードさまの手。
 胸が苦しいほど高鳴っている。


 
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