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第14章 琴音

9時

渡部はランニングシューズに　履き替え
何時も行く　公園のベンチに座って居ると
琴音が中年の女性に手を引かれて　入って来た
女性がベンチに座り　琴音の遊ぶ姿を眺め　
琴音が渡部の傍に来た時　声を掛け

「お早う琴音ちゃん」　

「ボールの　おじさん　こんにちは」
琴音が　可愛い声で返事を返して来た　

「おじさん　パパに頼まれたんだ」　

「琴音ちゃんを　飛行機して　潮干狩りに連れてって欲しいって」　

「行く？」

「オジサン飛行機してくれるの？」　
琴音が　嬉しそうに聞く

「そうだよ　おじさんパパに　頼まれたから飛行機して
　琴音ちゃんを　潮干狩りに連れてって欲しいって」　

「行く行く」
琴音が　体を弾ませながら言った　

「お車までだから　今日はお腹だね」　
渡部は　琴音を抱きかかえ

ベンチに座っていた　中年の女性が慌てて立ち上がった　

「　ビューン！！！　」

渡部が言いながら　走り出すと
琴音が手を広げ

「　ビューン！！！」
声を上げる

中年の女性が追いかけて来たが　
坂道の途中で　自宅へと駆け込んで行った

琴音を助手席に乗せ　シートベルトを締めると
五分程　走らせ　ハザードを点灯させると
電話を掛け　通話が終わり

「琴音ちゃん　潮干狩り行こうか」
声を琴音に掛けた　

通話を聞いていた　琴音の顔が明るく成り
うんうんと　頷く
渡部は　

海へと　車を走らせた・・・