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それぞれの後編
第2章 身代わり妹〜第二章〜【変化】
季節が巡り春が来ても、凛は美優の母親になかなか懐かなかった。

美優の母親もまた、凛を”美姫”と呼び続けていた。


懐っこい凛は、睦月さんや文子さんとは初対面から懐いていた。

店の方では、楽しそうに遊ぶ。

でも、その奥に入ろうとすれば”きらい” ”こわい”と泣き出した。


それでも、粘り強く説得に行った。

毎回泣いてしまう凛は、俺がいつも抱いたままだった。


あれは…

煌太が生まれた頃だった。

いつものように俺が凛を抱いたまま、美優の母親に会いに行った。

怯えたような目で美優の母親を見つめる凛。

その凛に向けて、美優の母親が両手を差し出した。


「……凛ちゃん、抱っこさせて」


初めて凛を、”美姫”ではなく”凛”と呼んだ。

そして、その時の寂しげに笑った美優の母親の顔が、美優とダブった。


”優太と凛に会えないのは寂しい”

煌太を産んで入院中の美優。ついさっき行ったお見舞いの時に、そう言って寂しげに笑った顔によく似ていた。

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