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婚外恋愛
第6章 逢瀬その6
実は竜一は美智が派遣で働いていた時に別の部署で働いていたのである。
会社自体は某大手電機メーカーである。
美智と龍一は働いていた部署が違うだけだった。
フロアーが違っていた。
美智が勤めていたフロアーは3階だったが、龍一が勤めていたのは4階だった。
二人は良くエレベーターで一緒になっていたのだ。
そんな龍一からある日声を掛けられたのである。
「山下さん、今晩空いてる?」
「はい、空いてますけど?」
「じゃ、飲みに行かない?」
「いいですよ…」
こうして二人は密かに交際を始めていったのだ。
他の人は誰も二人の交際を知らなかった。
美智は派遣の契約が切れると同時にこの電機メーカーを退職した。
その年に、龍一と同棲を始めたのだ。
そして、その年、龍一は今務めている某大手外資系の会社に転職したのだ。
なので、上司であった中嶋も美智の夫の事を誰だか知らなかった。
「山下さん、話し聞いてる?」
そう中嶋から言われて美智は我に返った。
「は、はい、聞いてますよ…」
「何か、考え事してる顔してたぞ?大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。中嶋さん…」
美智はそう言うと笑った。