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不条理な恋 理不尽な愛
第3章 2
僕は悠久の時間を過ごしてきた。それは人が生きる時間よりはるかに長い時間。

その中での唯一……

初めてこだわったのがカノジョだった。


神の僕(しもべ)として人の生死、特に誕生の采配を振るう事が

僕の生業(なりわい)だった。

来る日も来る日も、修行を終えた魂の歴史を見て、新たな魂としてどこに降ろすか決める。

わかりやすく言うと閻魔とある意味反対の仕事。

そうやって日日を過ごすことに何の違和感もなく、

ただ神様の補佐をすることが僕の喜びで、全てだった。

そうやって長く過ごしてきて……

初めて人の魂に直接関わりたいと思った。

カノジョの魂に触れた瞬間、僕の中で何かが弾けた。

今までカノジョの魂の過ごしてきた時間に興味を持ったのはもちろんだが、

カノジョ自身の持つ何かに、僕は魅かれた。


この世に生まれるのを決めたのは神様。でも、どこに行くのかを決めたのは僕。

カノジョには運命の人がいる。この世でも、最初の家族には恵まれない。

幼い頃に一人ぼっちになり、その後その人に出会うのは……

大学の時。そのまま彼と添い遂げるのが彼女の一生。



この世に降ろすまでの短い間、ずっと僕の手元に置いて、毎日の仕事に伴って行く。

ただそばにいるだけで、ただ同じく時を過ごすだけで幸せだった。
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