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少し愛して
第13章 千佳の母
八重は通院の時など良くこう言っていた。
「千佳はお母さんの為に免許を取ったみたいなものだね。ごめんね…」
「お母さん、そんなことないよ。私は運転できるから嬉しいのよ」
そんな会話を良くしていたのだ。
八重は千佳のいう話しは良く聞いてくれた。
わがままも言わず辛い闘病生活を送っていた。
千佳が夕方病院を出るときなど八重はこういうのだ。
「もう少し、ここに居てくれないかい?」
「うん、いいよ。面会時間ギリギリまで一緒にいるからね」
そう千佳は話していた。
千佳は内心とても複雑だったのだ。
もう余命は宣告されている。
だが、八重はそれを知らない。
また、元気になって働きたいと言っている。
そんな八重の気持ちを思うと、余命は分かっていながらも励ますしかなかった。
千佳の精神状態も段々と不安定な状態になってきたのである。
それは、過食だった。
看病に疲れて自宅に戻り余り食べたくはなかったがコンビニでシュークリームなどを5個買ってきた。
それを全部食べるのだがそれでも物足りず、またシュークリームを今度は10個買ってくる。
また、それを全部食べるのだが物足りなくなる。
そんなことを繰り返しているうちに千佳はタバコを吸ってみたのだ。
すると、不思議にも過食は収まったのだった。