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少し愛して
第13章 千佳の母
それから千佳はタバコを吸うようになった。
この頃は、もう八重の看病で家事はできなかった。
そのことを佑貴に話すとこう言われた。
「仕方ないよ。家事はしなくていいから」
そう言われたのだ。
その後、佑貴は夕飯などを外で食べてくるようになった。
千佳は看病に少し疲れてしまい1日だけ姉の翔子に八重の看病を頼むことにした。
翔子はまだ子供が幼く子育てで忙しく八重の看病はできなかった。
だが、妹の千佳の姿を見て翔子は1日だけ八重の看病をしてくれた。
千佳はその日1日はゆっくりと過ごしたのである。
しかし、翌日八重の病室に行くと八重は怒ってこう言うのだ。
「千佳、何で昨日来てくれなかったの?ずっと待ってたのよ」
「姉さんがいたじゃない?姉さんじゃダメだったの?」
そう話すと八重は黙ってしまうのだった。
そして、話を変えてこう言うのだ。
「千佳、病院の支払いがあるから支払い行ってきてね」
「うん、分かったわ」
この会話が八重との最後の会話となることを千佳は知らなかった。
千佳は病院の支払いを済ます為に1階の入院費支払いの窓口に行った。
支払いを済ませて病室に戻った時だった。
八重のベッドのところだけ医師や看護師が沢山集まって騒がしかったのだ。
医師や看護師は八重の救命処置をしていたのだ。
八重は千佳と会話をした後、意識不明の心肺停止状態になっていた。